よごれた        
【主軸用機械式無段変速機の失敗】から立ち直り、それをバネにして新たに(?)《プリー掛多段変速機》の製作に取りかかる事にしました。  (^^ゞ
目標は初心貫徹で、あくまでも定出力型の変速を目指します。
【 失  敗  作 】

発想は良かったのですが、ベルトが斜めに逃げてしまったテーパー・コーンプーリーです。

但し、言い訳として、もしベルトが逃げなくても、丸ベルトの接触面積の問題で200W以上の軸動力をスリップさせずに駆動できたか・・・・

  ウムゥ〜   (ーー;)

いわゆる稚拙な思い付きであったと反省し後悔はしない事にしよう〜
心機一転、新たな構想を持って製作開始
【プーリ溝切削バイト】

駆動ベルトは《ミシン用シングル・コグ》を使う事にしよう。
ベルトの接触角は40度なので仕様書通りに38度でプーリー溝を削り出すとしよう。

総形バイトでは切削抵抗が大きいのと微調節が微妙なので、今回は2mm幅の突っ切りバイトで所定の深さを決めて左の様な剣先ヘール・バイトで溝幅を現合調節しながら削する事にしよう。
【 プーリー素材 】

せっかく綺麗にできたテーパー・コーンであるが、涙を呑んで今回はこれから削りだすとする。

          (T_T)
【 プーリーの切削 】

 シュィ〜ん・・・!

大まかに荒取りした後、所定の寸法の溝入れを行う。
【 プーリーの完成 】

完成した2次カウンター・プーリーと、従動側のプーリーで・・ご・ざ・い・ま・す。

後ろに見えるは、綺麗なテーパーコーンの端材で・・ご・ざ・い・ま・す。

      (^^ゞ
【駆動モーターの選定】

先延ばしに出来ない重要な事あがりました。
スピンドル・モーターの選定をするとしよう。

既存のモーターは日立のハンドグラインダー(GP2SA)で145W / 30,000rpmの性能である。

この時のトルクは
トルク(kgf・m)=974× P(kw)/N(rpm)
        =0.0047kgf・m=0.47kgf・cm/30,000rpmである。

変速としてはトライアックしか方法は無く3,000rpmに減速した場合
0.47kgf・cm×1/10=0.047kgf・cm/3,000rpm

また、このモーターは整流子モーターでエンジンで言うならば2スト(サイクル)・エンジンのように耐久性と燃比が悪くうるさい。

そこで今回はACサーボを使う事にしよう。
トライアック制御が回転数に比例してトルクも減少するのに対しサーボは制御回転範囲内は定トルク特性である。

ヤフ・オクで入手したオリエンタル・モーターの60Wにしようか・・・・

それとも JA3NGWさん(鳥の撮影のスペシャリストです)、のご好意で譲って頂いたOMURONの200Wにしようか・・・・

2番目の画像の左がOMURONの200W・・・右がオリエンタルの60Wなのだが 200Wの方が格段に小型である・・・・・なぜ・・???? 何故だ ?

   60Wのモーターより小さな200W・・?

でもシャフトはΦ14・・・・200Wクラスのサイズである。

もしかして希土類(ネオジ等)マグネットのサーボかよぉ〜・・・     (^。^)

よし ! 取り合えず3,000rpmから20,000rpmまで増速する事を考慮してPOWER優先で行きましょう !

初めてのACサーボ挑戦なので、恐る恐る接続して低周波発信器でパルスを入れてみる。

お〜おっと・・・・・動かない。  (ーー;)

新調したパラメター・ユニットで色々と設定を変えてみよう。
これが結構、初心者の私にとっては理解し難い部分も多い・・・・・
また、このモーターの型式末尾の"R1"は特定需要家向けの特殊仕様のようだ…(ーー;) ウむ〜

が・・・・しかし勉強家の私の事  (^^ゞ 

悩み抜いた末に何とか無事、回転いたしました。

      (^。^)

シュイ〜ンって良く回りオシレーターに同期して可変速します MAX 4,450rpm 達成 !
、これは、イケそうです。

で・このモーターのトルク(銘板値)は
   0.637N・m/〜3,000rpmであるから
   0.637N・m/9.806= 0.0649kgf・m= 6,49kgf・cm

いわゆる変速比 1: 1の時にΦ10mmのエンドミルを使うとするなら刃先で 約12kg/3,000rpm程の切削力が出るという事になる・・・・のかな ?

30,000rpmに増速した場合(Φ1.0mmのエンドミルを想定)トルクは約 1/10になる訳だから・・・
   6,49kgf・cmt×1/10=0.649kgf・cm
   Φ1.0mm刃先回転力 約1.2kg/30,000rpm・・・凄い !

  現状よりかなり進化である・・・(^。^)

 これで【CNC進化論】の方針決定でェ〜す !
【 変速機ケースの組み立て 】

mini-CNCで9.0mmのアルミ板から必要パーツを切り出します。

現状のマシーンでΦ5のエンドミルを使い10〜20分/枚 程度で切削する。

只の箱組では、いくらアルミでも重量が増しZ軸駆動の負荷が増大しますので、剛性に影響しない程度に4.0mm程、各部の肉抜きを施す事にしましょう。
Z軸への取り付けボルト穴は後の左右の振り調整の為円弧の長穴に加工して、その円弧の中心には回転させる為の軸芯用ピンの穴加工もついでにしておきます。


ケースの組み立ては素材がアルミなのでTig(アルゴン)溶接でローパルスを入れて行うことにしますが、問題はアルミの溶接の場合、溶接時かなり曳け(歪)がおきますのでスピンドルを組み付け12mmの鉄板の上にガチガチにクランプ等で固め(矯正)して行います。

この作業(段取り)が最終的な出来/不出来を大きく左右しちゃいます。


かなり狭い隙間からトーチを入れ溶加棒を入れながらの隅肉オールポジション溶接を行います。
アルミの隅肉溶接は苦手なんだけどなァ〜

     (ーー;)  がんばるぞ〜

溶接が終わりワークが冷えたら治具を外し各面をフライスで全面を整え後の焼付け塗装の為にサンドブラストで表面処理を行っておきます。

熱を加えたアルミ合金の場合は時後硬化が起きる物が有りますので溶接後、48時間は治具から外さないで放置しておく方がBESTですね。


この段階で各部の寸法の再測定とスピンドルを仮組してベアリングに過大なプレロードが掛かっていないかを調べ、もし不具合が有れば、この段階で対策と調整を行います。
(歪をプレスで修正する等・・・)

・・・・・なんとかOK !でした (^^ゞ

 左下が組み立て完了のケースです。


   なんとか・・・ここまできましたぁ〜 (^。^)
【 スピンドルの加工 】
スピンドルは工具鋼等の固い材質でできておりキー溝を切るのは大変であり、また片面を切削すると製造時の残留応力の開放から歪が出る恐れがあるのでプーリー固定には4本のセットスクリューを使う事にしましたが材質が固い為食い込みにくい為、スピンドルにハンドピースにダイヤモンドバーを銜え4つの窪みをつける事にしました。
【 仮 組 み 】




各パーツを仮組みしスピンドルの振れ等の測定を行います。

特段、定盤に固定はしません。
これで振動が出てしまうようであれは゛使い物にはなりません。 (^^ゞ

でも回転させても、ちゃんと座っていてくれるかなァ〜 ?

スピンドルは私の1/100のダイアルゲージでは振れを確認する事ができませんでした。

200W ACサーボで、いよいよ(恐る恐る)回転してみます。
サーボの各設定は、取り合えずオートチューニングでゲインを調整しちゃいます。

速度設定は CWに外部パルスを入力してボリュームで調整する事にしました。

一次変速はタイミングベルトで 1.5倍に増速
二次変速はMB-Vベルトで    2.0倍に増速

最終変速は同じくMB-Vベルトで
 
     1段 1/2 減 速
     2段 1/1 等 速
     3段 2/1 増 速     

結果ファイナルとしてサーボを3,000rpm(最高4,500rpm)で回して

 1段 1.5倍増速   0 〜  4,500 ( 6,750)rpm
 2段 3.0倍増速   0 〜  9,000 (13,500)rpm
 3段 6.0倍増速   0 〜 18,000 (27,000)rpm     

 と・・・設計どおりなりますか -・(^^ゞ ? ?

 左の真ん中の画像は1段に設定してあります。
【 ACサーボドライバー 】

ACサーボドライバーにオペレーターユニットを接続して各設定をします。
オペレーターユニット接続状態ではモーターの実回転数や負荷トルクを表示する事ができます。
【 試 運 転 】

スピンドルに反射テープを貼り付け光電管式回転計をセットして実回転を計測しながら、各部の温度上昇及び異音、振動等を計測する事にします。

ベルトは1段に掛け徐々に回転数を上げてゆきましょう。
      恐る恐る  (^^ゞ

ベルトを2段に掛け9,890rpmで特に異常なしなので、このまま12時間ほど連続回転させておく事にしましょう。
12時間の連続運転後
放射温度計で各部の運転中の温度を測定してみます。

環境温度 19.4℃

  モーター表面温度は50.8℃

 一般的な温度でしょうかぁ〜 ?


オペレーター・ユニットの負荷トルク表示は48%ですから、こんなもんでしょう。
反負荷側の軸受け温度は

  34.9℃ 若干高いが許容値でしょう。
タイミング・ベルトの運転中温度は

  52.1℃ これも、こんなものでしょう。
ファイナル変速のMB-Vベルトの運転中温度は

 44.4℃ 意外と思ったより低い温度かな

しかし、変速機ケース内に対しては通風(強制空冷)も視野に入れたサイドカバーの設計が必要かもしれませんね。
 
【  挑   戦  】
ファイナル変速を3段に掛け替え高速回転に挑戦

 22,800rpmまでは絶好調だ !
      凄い迫力 (^。^)

振動も無く定盤の上におとなしく座っている。
これは以外だ ?

 地球ゴマの原理かな・・・・?

音は車のスパーチャージャーのように
『ギュ・ュィ〜ン〜』と言った音質であるが、やはりベルト特有の大きな音がする。

但し、これは蓋をすれば消えてしまい、スピンドルの回転音の『シュィ〜ン』という音のみになりそうだ。
最高回転数(27,000rpm)は本組後に挑戦するとしよう。
【 次 の 作 業 】
【 レーザー照準器の設計 】

取り合えず、変速機本体は次回に置いておいて次にレーザー照準を設計するとしましょう。

これがあれば切削加工の時、既加工済みのワークなどで中心を出したり等、いつもテストインジケーターを取り付けて作業しているのが非常に煩わしいのでレーザー照準器が主軸に付いていれば非常に便利だ・・・と言う発想からなんですが・・・


例として
パイプなどの中心に原点を持っていく場合パイプ炬口(円)のどの位置でも、構わないので左端から右端にX軸テーブルを一旦走らせ、カウンターの横断距離の半分の位置に送って、次にY軸テーブルを上端から下端に送った半分の距離(位置)がパイプの中心になるはず。

・・・とになく原点出しが非常に簡単になるはず。


CNCコントローラー +レーザー照準 + Zチェッカーがあれば最強の最簡単な加工が可能になる。

  *Zチェッカーは只今、頭の中で設計中デス
             (^^ゞ

   上手く行く事やら・・・(^^ゞ

取り合えず光源の材料は秋月電子の通販で\600で購入した

《LM-101-A》 赤色レーザー発光モジュールを使うとしよう。

主軸の反負荷側からスピンドルの貫通穴を通してレーザーを照射しワークに基準点を表示させようと言う考え(企み)です。


ここでの問題点は

@軸端に取り付け予定のボルトの中心に貫通穴を開ける。
これが先送りしてきた変速機の残された重要事項でもある。

       (ーー;)

Aポイントをスィープにする為にレイザー光の前に毛髪などで十字の照準を取り付けるなどして精度を上げる。
主軸に直結し回転させれば自動的に中心が出るが構造的にオシャレではない。

で、あれば軸の中にレンズ or ミラーを取り付け光軸を回転させて自動調芯をさせる・・・・か・・?


B照準を精度良く微調整可能にする。

・・・・etc


等々をクリアできるように設計する事にしましょう。


・・・これで暫く頭の中で充分に楽しめます


             (^。^)
【 レーザー照準器の製作 】

ユニットを組み込む為のケースはアマチュア無線時代に使用していた同軸ケーブルのコネクターを使う事にしよう。

電池を入れる部分は100円金一で購入したLEDライトを改造しよう。

 いずれにせよ材料費は1,000円そこそこである。

【 光 軸 調 整 】

ユニットを旋盤の主軸に銜えさせ、ゆ〜っくり回転させ、反対側の芯押し台にレーザー・ビームを照射させ光軸を調整しよう。

芯押し台には認識しやすいように丸棒でも銜えさせておこう。

調整はレーザー・ユニットを固定する為にケース(同軸ケーブル用コネクター)の外周に予め加工して取り付けたM2のセット・スクリュー3本により行う。

この時の調整は 1/100 〜 1/1000を求める必要は無い。

そんな事をしても実際には全くの無意味である。

取り合えずソコソコ真っ直ぐになっていれば良い。


・・・・しかし、このユニットの照射ポイントは長楕円で、且つ5mmほどあり、何れにせよ、このままでは使い物にはならない・・・・が・・・秘策があるので、これで良し・と・しよう。


         (^。^)
【 ケースの組み立て 】

取り合えず完成したレーザー照準器の照射ユニットである。

・・・・らしくは、なってきたナぁ〜
主軸変速機に取り付ける為のアダプターである。

アルミ丸棒からの削りだしと、同軸ケーブルのコネクターで構成するが・・・コネクターをネジ込んだ時、しっくりくるようにオス側のコネクターにはインローで挿入する為のパイプを厚入しておく事にする。
組み立てると左画像のようになるわけである。

変速機の微振動等でレーザー照準器が壊れないように使う時だけ取り付け、使用しない時は取り外せる仕組に仕上がっている。

・・ただ・・・何かしらアルミ肌で・・・らしいのだが無骨である。

機能&精度は確かに最優先であるがマシーンは美しくないと(F-1のような洗練された機能美)私のポリシーに反する。
          (^^ゞ
【 塗  装 】

塗装する事に決定 !

しかし、せっかくのハイ・テクなユニットをソリッド・カラーで塗装するのは忍びない。

YUSAマジックでアルマイト風塗装にしよう。

と・言ってもプラ・カラーのクリア・ブルーとクリア・レッドを吹き付けるだけであるが。

ただし、この場合でも塗膜は剥離しやすいので、必ず下地処理として塗装前に密着剤を必ず吹いておこう。
塗装の完成 !

我ながら『カッチョ・エェ〜』
   まるっきアルマイト処理って風味です。
 レーザー・びぃ〜ム !

確かにカッコは良いのだが、このままでは役に立たない。

あまりにも大きすぎるポイントと、理論的に、これでは主軸の通り芯がでない。
【 秘  策 】

ここで超特殊材料の登場である。

     (^。^)
大事に使い込まれたΦ0.5mmのシャープ・ペンシルである。

使うのは先端の内径約Φ0.5mmのチューブである。

これをΦ6.0mmのSUS磨き丸棒の中心に貫通孔を空けたものに挿入・接着する訳である。

丸棒の中心の孔はチューブ挿入部分だけチューブの外径に合っていれば良く、他の部分はΦ3.5mm程度で開けておく。

この時の穴の芯出し加工は1/100 程度で良い。
1/1000を求める必要は無い。

何故ならスピンドルに銜えさせ回転させて使うので、チューブの内径以上に芯がズレていなければ、逆端から照射されたレーザーの光軸はスピンドルの通り芯で自動調芯されるからだ。

主軸を回転させながら照射するところ・が・ミソである。

そして人間の目には小径の真円に見えるはず・・・・
    本当・・・かな・・・?    (^^ゞ
【 照 射 試 験 】

逆端より照射されたレーザー光がスピンドル先端より赤く輝くハイト・ケージに照準を照射してみよう。
 
  おおよそΦ1.0mm以下の真円である。

スピンドルを回転させてもズレは皆無、丸棒の穴あけが良かったかナ ?

【レーザー照準器】の完成である !

これでコラム(Z軸)に主軸を取りつけた時のセットアップ調整が極端に簡単になり高精度な調整が可能になるぞ !


レーザーを照射させ主軸をフルストロークで上下させるだけで、ロックオンしたテーブル上のマークからのズレを見ればコラムや主軸の転びが分かる。

また複雑な形状のワークを加工する場合の原点出しや仮想中心点を出すのが簡単に出来るようになるな。

        (^。^)
【 主軸固定穴開きボルト 】

反負荷側のベアリングに主軸を固定しベアリングに予圧をかける為のボルトを取り付けなければならないのだが主軸の材質が硬く手持ちのタップでは不可能である。

いっきに、50tプレスでシャフトを圧入するか?
歳をとってからは野蛮な事は嫌いになったので。・・・やはり・止めておこう。

 が・・しかし・・よく主軸の中を除いて見ると・・・

な・なんと、雌ネジが途中まで切ってあるではないか ! 
     ・・・・な・んの為・・?

  M12×P1.5のネジだ。
  一般的なネジ山である・・・ラッキー !
ユキワのコレットチャックは良質で優れものである。

          (^。^)
F7TのM12×P1.5のボルトから削りだそう !

一部の山を残し、残りはΦ10.0に仕上げ逆端にはベアリングナット用のM10×P0.75の雄ネジを切ろう。

旋盤でのネジ切りは得意じゃないので今回はダイスを使う事にする。

中心にはレイザー照準用のΦ6の貫通穴を開ける。

加工後ガストーチで800℃以上に過熱し真水で焼きをいれ約250℃のオーブンで焼戻し調質をかけよう。

後は、レイザー光の反射を防ぐ為、黒染めを行う。
スピンドル内のネジは途中までしか切って無いのでコレットチャック側から挿入しマイナスドライバーで回転させて反負荷側に突き出してくる。

実は、この為に、あらかじめM10側の突端にはマイナスドライバー用の溝加工を施してありました。

   今回は、ぬかり無く・・・・(^^ゞ
:ワッシャーをセットしM10のベアリングナットを締めこめば主軸の完成である。

でも、これでは振動や回転でナットが緩んでしまうなぁ〜
     (ーー;)

   よし !

ナットの回り止め対策として、ナットを薄く切削してダブル・ナットとする事にしよう。

 これなら爪付きワッシャーより細かく調整が可能だ
【 サイド・カバーの製作 】

既存のCNCを使って9.0mmのアルミ板から両面切削によりサイド・カバーを作る事にしよう。

剛性を落とさず贅肉を落とす為、6mm程の深堀をしよう。

切削塵のハケと刃物の冷却の為、エァー・ブローは必衰だ。

画像撮影の為に集塵システムを取り外しての切削だが流石にアルミ粉が凄い。

  粉塵爆発が起きたらどぉ〜しよう。

      (ーー;)
Mach2の設定だが

Φ5.0のエンドミルでの9.0mmの切削抜きと6.0mmの深堀切削の為

  切削速度   F=800mm/mini
  主軸回転数 S=20,000rpm
  切込み深さ  Z=0.15mm・・・・で

 1枚を仕上げるのに、おおよそ1時間位かな

送り(F)を130%位(F=1,040mm/mini)までアップしてみると主軸(ハンドグラインダー)の小さな6001ZZのベアリングが悲鳴を上げ始める (ーー;)

今の主軸が昇天する前に新主軸を完成させなけれは・・・・   (ーー;)
概ね切削が終わったワークである。

9.0mmの切削抜きは、この小さな機械(mini-CNC)としては限界の切削かもしれない。

面責の有る深堀時の負荷は問題では無いが切削抜きのツール・パスを1本で抜くのは刃物の全周に切削抵抗がかかり主軸に対する負荷が非常に大きいようだ。

小型の機械の場合、切削時間を要するが出来得るのであれば複線のツール・パスにして刃物の片側のみに切削抵抗が掛かるようにして負荷を軽減させるべきかもしれないなぁ〜  (^_^)
切削完了のサイドカバーの全体画像である。

手作業による面取り等の追加工を施した状態であります。

深堀(ポケット加工)による贅肉を落とした部分の底にエンドミルのクロス・ハッチが美しく輝く。


   久方の自画自賛   (^。^)
美しさを惜しみながらも完成姿をイメージしながら
サンド・ブラストをかけよう。

上画像のサンドブラスト・マシーンは廃材からの自作です。

上半分がブラスト室になっており、吹いた砂がホッパーで回収されキャビネット下半分に設置したペール缶の中に落ちて、それを再度、ブラスト・ガンで吸い上げて吹き付ける・といったシンプルな構造である。

特大のゴム手袋に両手を突っ込み、キャビネット上の窓から覗き込みながら中で作業を行い、中に舞い散る粉塵は左横に設置した業務用掃除機で吸い取る事により中はいつも視界がクリーンです。

サンド・ブラストで忘れていけない事はアースの設置である。
当初、素人の私はアースを設置せずにブラスト作業を行ったところゴム手袋をも通電してしまう強烈な静電気で大変な事になりました。

        (T_T)
今回ブラストに使った砂は白色のアルミナである。

ブラストで切削力の強い色々な金剛砂が有るのだが今回はアルミ肌の調整(塗装の為の下地処理)の為に#100のアルミナを使った。


アルミの切削肌を光らすのであればガラス・ビーズなども良いかもしれない。

いずれにせよ非常に綺麗な合金肌に仕上がった。

何か塗装をするのが勿体無い気もするのは、私だけ・・・?
【 再度の仮組み 】

こんな具合になっちゃいましたァ〜

    (^。^)

右サイドの長方形の穴は、後に蓋が付く予定ですがベルトの掛け替え用の開口です。

左サイドの多角形の穴は・・・・・・
変速機内部の冷却用のファンを取り付ける為の開口です。

基本的にVベルトの当りはプーリーの外周側と内周側では必ず速度差が出るので大なり小なりスリップが起き温度上昇がある・・・・はず

静音の為には密閉型とすべきであるがベルトとベアリングの長寿命化に冷却は不可欠だと思う。

特にベアリングにおいては本来2RS(コーヨーの呼び)等の接触型ゴムシールの方がグリスの流れ落ち等が無く良いのだが接触型シール故に20,000rpm程の回転数では使えない。

それらの状況ゆえに標準のZZ(非接触鉄板シール)の使用を余儀なくされた為、変速機内部が高温になった時はグリスの流れ落ちによる軸受けの短命が予測されます・・・・・よね ?

この辺の方針を決める為に前回の試運転で放射温度計を使い各部の温度上昇を計測していたのです。

   (^^ゞ  ・・・と言う私の浅知恵で開口を設けました。
【  問  題  発  生  】
【問題発生】

仮組、試運転後に分解してみたところ
主軸(YUKIWAのマイクロコレット)のベアリング当り面に"フレッチング"が発生している。

     (ーー;)  ヤバイ !

確かに反負荷側のベアリングと主軸の間も茶褐色になっていた。

これは典型的なフレッチング現象が起きている証拠だ。

原因はベアリングホール底の精度不良によりベアリングがコジられて振幅の小さな振動運動が発生している事が予測される。

軸受け温度の若干高い34.9℃は許容してはいけない値・・・・?

本来はラインボーリングを通して両端のベアリングホールを一発加工しなければならなかったのだが個別に加工した為に招いた結果である。

しかし、ここで メゲズに最後の手段は飛弾高山の職人技・・・(^^ゞ ・・・・なぁ〜んてネ

主軸と同サイズのミガキシャフトに6904の同サイズのベアリングを瞬間接着剤で固定し片側のシールを外し脱脂し内部にも瞬間接着剤を流し込み玉を殺す。

次に外周と厚さをサンドペーパー等で0.1mm程度落としラップ用の治具とする。

特に外周の精度は回転させて使うので気にする必要は無い。

おおよその当りをつかんでおく為に光明丹を油で溶いたものを治具に薄く塗りつけ変速機ケースに組み込み手で回してベアリングホールの当りを見ておこう。

 やはり両端のベアリング・ホールの底部分の平行が僅かに出ていないようだ・・・・・

それでは・・・
まず、治具にバルブ・コンパウンドを薄く塗りつける

このバルブ・コンパウンドとはエンジンのヘッドを組む時に吸排気のバルブの摺合わせに使う金剛砂を油で溶いたものである。

荒目と細目が有るが今回は細目を使用するとしよう。
缶の裏表に蓋が付いていて両方が入っている。
バルブ・コンパウンドを塗ったラップ用治具を変速機ケースに組み付ける。

当然、通り芯を出す為に反対側は通常のベアリングを組み込んでおく。

ベアリング(治具)の外周を一皮落としたのは、これからの作業でベアリング・ホールの内径が必要以上に拡大してしまう事を避ける為である。

もしベアリングホールが拡大してしまった場合は適度な厚さのシムを細く切りベアリングに巻き付けて圧入すれば問題は無い。
次に無段変速のコードレスドライバードリルなどでラップの具合を見ながら適度な回転数で回転させながら前後に治具を動かしベアリング・ホールとベアリング・カバーの底面にラップによる当りを付けてゆく。

時折、縁から溢れてくる研汁の粘りを見ながら切削量を調整する為にCRCなどを吹き込む。

砥石に水をつけて刃物を研ぐのと同じである。

そこそこ出来れば反対側のベアリング・ホールも同様の作業を行う。

これを1セットとして様子を見ながら交互に20セットほど作業を繰り返す。

今回の作業は約1時間ほどであった。  (^^ゞ

      
当然、ベアリング・ホールの深さが変わる(深くなる)のでベアリングのアウターへの締めシロがなくなってしまう。

ゆえに最後にベアリング・カバー側のフランジ面を定盤の上にサンドペーパーを敷いて適度に摺落として調整するとしよう。
ラップ作業終了後は、おのずとケースとカバーの組み合わせ及び位置はリジットになるので後に間違わないように合マーク(勘合印)を打っておこう。

画像では赤マークで誇張していますが後の塗装を考えポンチの打刻が最良でしょう。
仮組みをもう一度行ってみる。

主軸を挿入して指で軽く回転させてみてプレ・ロードを感触で確認してみる。

おっ〜お〜 軽い ! 超ベスト !

実は最初から(設計段階から)この加工組み立てのやり方では、この作業が必要になる事は予想していたのですが、何分にも、やる事が一杯ありすぎて後回しになっていました。

      m(__)m
【 塗   装 】
【 塗 色 の 決 定 】

さてと、塗色は何色にしましょうか・・・ (ーー;)

やはり私のmini-CNCのイメージ・カラーであるイエロー(黄色)にしましょう。
主軸変速機なので後々、汚れたらシンナー等で洗浄する事を想定して塗装乾燥後シンナー等の用材で溶けにくいアクリル・ウレタン塗装をする事にします。

私が使うのは2液性の車両塗装用ロックエースを硬化剤比 10 : 1 で 溶剤比 6 : 4 でいきましょう。
【 下地処理 】

アルミはステンレスよりは良いが、何れにせよ塗装が剥離しやすい素材なのでサンド・ブラストをかけ足付け(下地表面を荒らし塗装の密着を良くする)を行い、薄く密着剤(ミッチャクロン)を吹き付けておく。

この密着剤とは薄い液体接着剤のようなイメージのものでポリカやABSなどの樹脂に塗装する場合も使用するもので車両塗装用の補剤である。
【 塗  装 】

まず下地に密着剤を吹いた上に下塗りをするわけだが、黄色という色は非常に止りの悪い色で下地が透けやすい。

また白色で下塗りをすると、仕上がりに、おもむきの無い軽薄な感じに仕上がりやすい。

そこで今回は黄色の逆色に近いディープ・ブルーを一回吹いてから黄色の本塗装を行い塗装乾燥後、ケースの彫が深く見えるようにしましょう。

     (^。^)
【 塗 装 完 成 】

  我ながら・・・中々の良い出来栄えである。

車の全塗装をするのに比べたら  (^^ゞ・・・楽 !

赤外線焼付け装置が無いのでオーブンで軽く焼いて焼付けを行い完全に塗膜を固めよう。

黄色は完全硬化すると色合いが朱色に傾く傾向がある。

左下の画像は塗装の完全硬化後である。
彫の深いディテールが綺麗に表現できた。


・・・・・・・狙い通りだ・・・再度自画自賛 ! (^。^)
【 本 組 み 立 て 】

それでは、いよいよ組み立てをすることにしよう。
気を抜かず細心の注意を払いながら組み立てる。

特にベアリングなどの挿入に当っては一方向から挿入するわけだが入れっぱなし、ではダメである。

必ず"戻し"をかけベアリングのインナーと玉とアウターレースが片方向に偏った接触をさせないようにする必要がある。

簡単な方法としては組んだ後、指で軸を回転させながら、、軸方向からケースをプラッスチック・ハンマー等で軽く叩いてやる。
そうすると軸が必ず軽くなるはずである。

"絶対にベアリングや軸を叩かない事"  (−−〆)

組み立ての必要アイテムとして

《嫌気性強力封着剤》《Microlon》は必須である。

Microlonとはマイクロロン樹脂(フッ素加工物)を配合した機械組み立て用の潤滑剤でエンジン組立て用に開発し、各パーツの摺動部分に指やゴムベら等で、薄く塗込み組み上げます。
     2オンス(56g) ¥8,400(税込)

非常に高価な潤滑剤であるが目に見えた効果が期待できる。
2ストのエンジンなどを組み立てる場合使用すると、組み立て後、馴らしをせずに10,000rpmまで一気にもっていってもカジリツキなど発生する事は皆無である。

必ず軸の外周とベアリングの内径部及び各摺動部分に塗っておこう。

軸の公差からベアリングの内輪の中で軸が回ってしまった場合でも"フレッチング"を押さえる事が可能である。

欲を言えばベアリングのグリスをこれに全部交換してしまえば、かなり軸動力の低減を計れると思うが・・・・・が・・・・非常に高価なので最低限の必要箇所だけにしておこう。

         (^^ゞ

左下2枚の画像が組み立てを完了した主軸変速機である。
ケース内の冷却の為に取り付けたファンが目を引く。

【 ピック・アップの取り付け 】


ここで忘れてはいけないのがMachに主軸の回転数を取り込む為のピック・アップの取り付けである。

材料としてはOMRONのフォト・マイクロセンサーで
《EE-SX672A》を使う事にする。
機械原点検出用のセンサーも同一型番の物を使用しておく方が後々のトラブルの時にやり繰りが可能になるのでベストである。

まず画像の左側のように取り付けベースをライターなどで温め湾曲させておく。
あまり熱をかけ過ぎない事と、形が決ったらヤスリなどで形を整形する事にしよう。
レーザー照準器取り付け用アダプターの側面に開けた角穴に挿入し、予め加工しておいたM3のタップ穴にビスを使って固定しよう。

実際には端子にリード線をハンダ付けし絶縁処理を施した後の工程となる。

このフォトマイクロセンサーを取り付ける為にアダプターは背を高くパイプ状に設計しておいたのた゛

    ・・・・・・(^。^)
フォト・マイクロスイッチを取り付けたアダプターの中である。

 なかなか、カシッっと付いている。

    良いぞぉ〜  (^。^)
主軸上部のベアリングの与圧調整用のワッシャと一体に加工した半円筒形の回転検出体である。

ここにホルダーごと被せるのである。

主軸と一緒に回転する、この検出体でフォト・マイクロセンサーを断続的に遮断し、その信号をQUATTRO経由Machに送り主軸実回転数を表示させようというのだ。

おのずと今後おこなうMachによる主軸用ACサーボの回転数制御の為にも必要不可欠な入力要素である。
組み立て完了後の回転試験である。

何と言っても・・・・・""である。

仮組みでの回転試験の時と大違いである。

 "シュ〜イ〜ン"って・ベルトの音しかしないぞ〜
ACサーボ・ドライバーの負荷表示を見ると約32%である。
3段掛けのベルト変速機の無負荷運転での軸動力としてはベストであろう。

      (^。^)
 レーザー・ビーム照準器を取り付けた全体姿である。

自画自賛であるが非常に美しい仕上がりである。

残す作業はファンとベルト掛け替え用の開口部の蓋を樹脂板で作れば終わりである。

・・・・早くコラムとZ軸を完成させて合体させよう。

・・・・と・言う事で主軸用変速機が完成いたしました。

みなさんの、ご期待にそえる出来栄えであったか、説明不足の点が無かったか、不安も付きませんが

最後までご、お付き合い誠にありがとうございました。
m(__)m

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