mini-CNCを使っての切削の時、いつも微妙に悩むのがZ値の調整です。

NCコードを生成の段階では習慣的に10.00mmに設定するようにしているのですが実際の切削に当ってはワーク(材料)の厚さは想定寸法より微妙に違っております。   (ーー;)

0.02〜0.05mm程度の皮を1枚残しての切削をしようとすると非常に感覚的なものに頼らざる得ない部分があり結果バキュームテーブルを削ってしまったり、残した皮が厚すぎて追加工に苦労するなどの問題を抱えておりましたので以前からの懸案になっておりました
Z値ゲージを作ってみましたので、その過程をご紹介致します。
 【従来の調整方法】

今までは諸先輩のやり方を真似してΦ10の真鍮丸棒をワークの上で転がして刃物の引っ掛かり具合で調整していました。

これは、これで非常にシンプルで確実な方法なのですがZ軸のバックラッシ等で上げ/下げで微妙に誤差があり必ず下げで"シックリ"くるように調整をしなければならず煩わしい面も有りました。
 【製作したZゲージ】

これを使うとワークの微妙な板厚の誤差も含め確実な数値管理ができ非常に便利です。

また、刃物の上げ/下げによるZ軸のバックラッシも常に数値的に表示されますので機械の精度維持管理にも非常に欠かせないアイテムです。

実際の切削では0.01mm程度の皮を残す切削も確実に可能となりました。
 【 構  造 】

構造的には通常旋盤加工による穴加工時に使用している[シリンダー・ゲージ]と、良く似た構造でゲージ中央のコマが押されるとコマの45度の接触面がΦ8.0mmのスチール・ボールを介してダイアル・ゲージのスピンドルを押すといった構造です。

設計と加工で一番重要な事は[コマ]の45度のテーパー面をいかに精度良く加工できるかにかかっています。

それとΦ0.5mmなどの細径の刃物を使用する場合に、いかに軽くコマを押せるかと言う事です。

これについては[コマ]の摺動面にメタルをいれ、スチールボールの通路も正確な寸法の穴に仕上げる事が重要だと思います。


ただ実際には私では無く道具が加工してくれるので、しっかりした設計さえできれば何とかなるでしょう。

        (^。^)
 【 材  料 】

大まかな材料はΦ30のSS材と適当な太さの真鍮丸棒の切端とΦ8.0のスチール・ボールが1個です。

後は、行き当たりバッタリで必要な材料はガレージの隅から探す事としましょう。

          (^^ゞ
まずはバンドソーでΦ30のSS材をカットします。

・・・・チョット長かったかなぁ〜

    後の旋盤加工が大変だぞぉ〜

本来は旋盤の切削代を考慮してキチッと切断するべきでしょうね。

         (^^ゞ
[コマ]の上下する摺動面には今回、この内径Φ8.0mmのオイレス・ドライブッシュを使う事にしましょう。
ブッシュの締め代を考慮してΦ30のSS材の中心に穴加工を施しハンドプレスで圧入します。

締め代なんかも、後から[コマ]を作るわけですから、圧入後の内径に合わせて削れば OK・・


・・・では、ありません。

締め代というより規定の内径の穴に圧入しないと内径が真円ではなく楕円になってしまいます。

このタイプの目安としてはドライブッシュの割れ目が圧入後ピタッと合わさって真円になります。
次にダイアル・ゲージを取り付ける為のパイプを加工します。

材料はバンドソーのそばに落ちていた
内径Φ8.0×外形Φ10.0のSUSパイプを使う事にします。

ここで重要な事はダイアル・ゲージの取り付けだけであれば2つ割りにして締め込むだけですので、どぉ〜でも良いのですが、この内径はΦ8.0mmのスチールボールの通路にもなりますので重要です。

・・・で、登場するのはΦ8.0をカバーする自在リマーと愛用のコードレスドライバードリルです。

スチールボールはマイクロメーターで外径の測定はできますがΦ8.0のパイプ側の内径は、ピンゲージ等丁度良い測定工具を持っていませんので、僅かにリマーを通してスチール・ボールを入れてみて落ちる感触で丁度良い内径まで仕上げてゆきます。


リマーの扱いで重要な事は焦らず少しずつ仕上げていく事とタップリの切削油を付け決してリマーを逆転させない事です。


しかしコードレス・ドライバードリルは便利である。
無段変速だしクラッチの調整が出来るしΦ13mmまでの錐を銜えられるし。


ひょっとしたらコイツが一番、活躍しているかもしれない。

          (^。^)


   ベスト・オブ・便利工具・イヤー賞・・・かな?
次はΦ30丸のゲージ本体部分の側面にパイプ取り付けの穴を開ける。

段取りが面倒なので旋盤の4爪は使わずボール盤を使用する。

但し1.0mmピッチの錐交換で極力正確な穴をあけよう。

この時、当然圧入したドライブッシュの側面に錐が突き出るので慎重にバリを立てないように加工する。
 【 コ マ の 製 作 】

一番重要なコマのテパー切削である。
通常のテーパー切削は刃物台の分度器を目安にするのだが、今回はハッキリ言って使い物にならない。

このコマのテーパーが狂うと上下の移動がリニア(比例的)にダイアル・ゲージに伝わらなくなってしまう。

   さて、このへんで根性入れてやりますか。
諸先輩方であれば色々と卓越したスキルがあると思いますが私の場合、猿でも可能な方法で加工する事にした。


  必殺 《カット・アンド・トライ》である。

  ・・・・・まさにカット&トライ?・・・かな ?

@適当な真鍮棒を取り合えずテーパー切削。

A精密スコヤに合わせ光に透かしてみる。

BNGであれば刃物台の角度を微調節する。

C再度@〜Aを繰り返す。

D満足するまで何度でも繰り返す。


・・・・で、角度がピタッと決ったら
いよいよコマの材料に銜え直しをして本切削だぁ〜


切削が完了したら必ず精密スコヤで再チェックを忘れずに・・・!
コマが完成したらコードレス・ドライバー・ドリルの再登場である。

ドライバ・ドリルにコマを銜えさせてタップリの切削油を付けて低速回転でゆっくり摺動面の摺り合せを行う。

オイレスのドライ・ブッシュなのでオイルは不要なのだが極力摺動抵抗を減らす為に、この作業は必要不可欠なのだ。
 【部品が総揃い】

製作過程は割愛したが真鍮製の蓋など完成した部品である。

    さぁ〜組み立てよぉ〜っと


       (^。^) 
M2の皿ビスで上蓋を取り付けよう

当然であるがコマの上部(刃物に当る部分)は定盤の上で摺り合せを施しておこう。
同じく真鍮製の裏蓋であるが、ここで重要な事は蓋の中央を切削して凹ましておくことである。

ワークの表面とベタ当りになってしまうとワークの面粗度により測定誤差が生まれやすいからだ。

裏蓋はM3の皿ビスで固定するのだが当然ビスの頭が飛び出さないように充分な座グリを施しておこう。
パイプ部分を取り付ける前の側面の画像であるが

中にコマを持ち上げる為のスプリングが見える。

極力各部品の遊びを無くする為と、コマの戻りを良好にする為のスプリングである。
2つ割りにしたパイプを取り付ける。

穴径に合わせて若干パイプ外径を旋盤で切削して後は瞬間接着剤を塗布して圧入である。
取り合えずダイアル・ゲーシを取り付けてM3のキャップ・スクリューを締め込めば完成である。

ただ実際のダイアル・ゲージの取り付け及び締め付けはシリンダー・ゲージ同様に他の精密な測定工具を使用して調整(校正)しての固定となる。
パイプ中央部に見えるΦ2.0mmの穴は空気抜きの為である。

スチール・ボールとパイプの間隙をかなりシビアに仕上げた為、内部がポンプ状になってしまった為、後からの追加工である。
 【校正と試験】

まずは校正をいたしましょう。

本来はマイクロ・メーターでやるべきでしょうが今回はハイト・ゲージを使用いたします。

定盤の上でデジタル・ハイトゲージをロックし微動調整つまみで定盤とスクライバの間隙をちょうど20.00mmにせっとします。

次にZ値ゲージにダイアル・ゲージを固定しているネジを緩め針の振れが見やすい位置になるようダイアル・ゲージを抜き/挿しし再度固定用のボルトを締め込みZ値ゲージにダイアル・ゲージを完全に固定しましょう。

当然ですが、この時、ある程度押し込んでダイアル・ゲージの接触子に中のスチールボールが当り、プリテンションがかかった状態で固定します。
この校正方法は一般的なシリンダー・ゲージの校正と基本的には同じです。

上記ができたらダイアル・ゲージの外周リングを回し針に"0"を合わせましょう。


 これで校正は完了です。

  で・・・次が、胸高鳴る衝撃の一瞬・・・ドキ、ドキ

           (ーー;)
デジタル・ハイトゲージの微動調節ネジで下に、ゆっくり 0.50mm送りをかけます。


・・・理論的には、これでダイアルの指示が0.50mm丁度の変化であれば大成功である。



    ・・・・・・が・・・。
  よぉ〜し !

な・なんと思惑どおり針が0.50mm振れたではないかぁ〜 !

     大成功である   ヽ(^o^)丿


  ・・・・・が・・しかし、まだ安心は出来ない。

測定範囲の全域で上昇/下降に対してリニア(比例的)に 1:1で指示されるかが次の問題だ。
ゆっ〜くり上昇させて測定範囲の上限まで持っていく。

ゆっくり動作させるのは内部のスチールボールの引っ掛かりによる測定の再現性の誤差があるかを見る為である。

次に、再度ゆっ〜くり下降させ20.00mmまで下げて指示値の再現性を確かめる事にする。


  よぉ〜し 再度ピッタリ針は0.00mmを指示している。
次に測定範囲の最下限まで降下させて上記と同じ用にダイアルゲージの針の指示を確認しよう。


結果測定範囲は
 18.69mm〜20.00mm〜20.87mm であり

20.00mmを中心に前後0.70mm程度の誤差は0.01mm以下である事が確認された。

やはり最上限及び最下限付近では0.01mm程度の一定の誤差が生じたが、20.00mmのZ値の測定ゲージとしては特に問題はないだろう。

これ以上はコマのテーパー部分の角度精度の追求かな
 【 完 成 】

これが完成したZ値ゲージである。

使い勝手の良い逸品が出来ました。
これで0.05mm程度の皮一枚を残した複雑な抜き加工が可能になったし、都度Z軸のバックラッシも数値で解かるので精度維持時の管理が楽になったぞ。



   久々で有るが得意の自画自賛


    凄いのできちゃいました〜

         大成功 !



            ヽ(^o^)丿
追記であるが実際の使用に当りワーク(切削材料)にダイアル・ゲージの裏面が当って測定誤差が出ないようにパイプ取り付け位置を若干上側にして設計してある。
【 実際の操作プロセス 】
それでは今回製作したZ値ゲージの使用についての実際のプロセスを順を追ってご説明いたします。

ここでは初心者の方も、もう一度mini-CNC使用の段取りの復習として頭を整理できるように基本的な事を説明させて頂きますので先輩諸氏は笑って読み飛ばし下さい。

実際の操作ではNCVCの自動外径・・・・とかMachの工具補正とか色々な機能で簡単に出来る事も有りますが、あくまでもスタンダード(基本)的に・と・言う事で話は進めさせていただきます。
 【CADによる作図】

一般的には、まず最初にJWWなどのCADを使い切削したい物の原寸を縮尺1/1で作図しよう。

この時の作図は後に削除してしまう予定なので[レイヤー]は後ろの方に書く事にしよう。

今回は画像の右側でもわかるように[レイヤーの6]に例として簡単なフランジを作図してみました。
 【ツールパスの作図】

先程作図したものを基に実際の刃物が走る(通称ツール・パス)を書き込むわけですが、この時予め刃物の直径を決めておき、その半径分をCADの複線機能等を使って外径切削であれば外側に内径切削であれば内側に書いてゆきます。

今回の例ではΦ3.0mmのエンドミルを使用する予定ですので1.5mmの複線で書き込みます。

ここで重要な事は切削加工の深さの違いにより書き込む[レイヤー]を分けて書き込む事です。

切削を深くする加工ほど加工順序を後に持ってくるほうが良いでしょう。

つまり切り抜きは最後にしましょう。

先程からでてきている[;レイヤー]ですが次に完成した図面ファイルを受け渡す《NCVC》と言うソフトとの約束事があります。

それはNCVC側とレイヤー名を統一しておく事で特に切削原点の指示については[レイヤー0]に《ORIGIN》と名前を付けておくと良いでしょう。

左の参考画像は[ORIGIN]に切削原点を[CAM01]に初段の深堀を[CAM02]に外径及び穴の抜きを作図してあります。

便宜上書いた原寸の[CAM03]は後で削除します。
それでは次に上記で書いた図面に適当なファイル名を付けて適当なホルダー若しくはディスクトップ等に一旦、保存しましょう。

保存ができましたら、《NCVC》を立ち上げ先程、保存した図面ファイルを読み込ませましょう。

特に問題が無ければ左画像のようにツール・パスを作図した物が、表示されます。
ツール・パスを書いた図面ファイルを読み込めましたら、切削加工のオプションで切削パラメーターの設定をします。

ここで出てくる【切削原点(G92)】Zの値が重要になります。
これ(Z値)を20.00mmに設定します。
この(Z値)は一般的に好みで決めて都度同じ値を使う事を習慣づけしましょう。
私の場合は今までは10.00mmでしたが製作した[Z値ゲージ]の測定中心値が20mmですから今後は全て20.00mmで設定するようにしています。

後の実際の加工の際には、ここで設定したZ値と同寸法(20.00mm)の間隙を刃物と材料表面との間にゲージを使って正確に開ける事になります。

他に左の中断にある【R点(R)】の値は実際の切削中にパスとパスを移動する時にZ軸上方向への逃げの距離です。

すなわち次の切削ポイントに移動する時、この例の場合は刃物が5.0mm上昇して移動するという事です。
・・・と、言う事で

切削パラメーターの設定が終わりましたらNCデーターの生成を実行すれば自動でNCコードが自動で生成されます。

NCVCによって自動的に生成されたコードをノート・パットなどによりテキスト・モードで開いてみましょう。
先程、設定したZの値がNO300行目のG92のコードの後ろにセットされているのがわかります。

G92のコードは、このプログラムが実行され、この行にきたら現在の刃物の先端位置を以降に書かれた座標として再認識しなさいと言うような命令です。

今回の例ですと今居る位置をX=0,Y=0,Z=20として認識しなさいと言う事です。
また自動で生成されたNCコードはNCVCの画面上で多面的にシュミレーションされ実際のツールパスを確認する事も簡単にできます。

この段階で作図時の誤断線などが有ればツールパスが不自然になりますので発見は容易です。


勿論、ツールパスに異常が見つかればJWW-CADで訂正します。
・・・そんなんで、上手くNCコードの生成が完了しましたら(するはずです)通常は元のCADデーターが保存されていた場所に自動的に元のファイル名を継承して自動保存されます。


   左の例のように拡張子は[.ncd]となります。
ここまで、できたら

いよいよMachで読み込み切削開始ですが
今回は別のパソコンで作ったNCデーターを読み込んでの作業とします。


ここで重要な事はシステムの立ち上げ順序で

当然、まずはパソコンを最初に電源ONで立ち上げます。
次に使用する[Mach]を立ち上げます。

   画像は私の愛用のMach2です。
Machの立ち上がりを確認したら、QUATTROの電源をONしてQUATTROを立ち上げます。

この立ち上げの順序はMachやQUATTROの安全装置であるチャージ・ポンプ・セーフティ等の機能により必須の条件となります。
各システムの、この電源ONの状態では、多分ステーピング・モーターは無音であったり"コッ、コッ"などの音がする程度でしょう。

次にMachの操作で[RESET]ボタンをおすと
"シュ〜"と言うような音がステッピング・モーターからし始めモーターにスリープ電流(モーター停止時の回転抑制の為の電流)が流れ初めてコントロールが可能となります。
作業の習慣づけとして、それではまず最初に
ホームボタンを押して全軸を機械原点(マシン原点/絶対原点等の呼称もあります)に移動させましょう。

通称ホーミングとも言いますが、この時の移動速度はMachのモーター・チューニングで設定した最高速度(F値)にホーミング設定で設定した倍率(%)で移動します。

機械原点での停止は繰り返し精度等、再現性の面から重要ですのでリミットスイッチ等の物理的スイッチを使用している場合は極力低速移動になるような設定が好ましいと思います。
一般的には、機械のこのような位置にリミットスイッチもしくは画像例のようにフォト・マイクロセンサーを取り付けていると思います。

但しステージ(テーブル)のベース側に取り付けるかテーブル側に取り付けるかによって取り付け位置は当然逆になりますね。



左画像のZ軸については、原点をいつもフルストロークの最上部にする事は合理的ではありませんのでワンタッチで位置を替えられるようにしてあります。

各軸に取り付けるリミットスイッチについては通常は装置の保護の為のオバートラベル防止装置的意味合いが大きいですがmini-CNCの場合は逆に機械原点(絶対原点)の指示(認識)との兼用のセンサーと解釈した方が分かり良いと思います。

またマシーンの初期セットアップの時に実施されていると思いますが、最端の機械原点から正方向(Z軸は-方向)に移動させ、その軸のフル・ストロークを計りMachのソフトウェア・リミットの設定で、そのストロークより若干少ない数値を設定されていると思います。

この事により各軸のオーバー・トラベルの防止と機械原点を得る事ができていますね。
ホーミングが完了すると、一般的には左画像のようにテーブルの最左/最手前真上に主軸が来るように設定します。

いわゆる上から見てX-Yの一般的な座標の0-0の位置ですね。

またZ軸は最上昇位置となります。

この時の機械座標は

   X = 0 で、移動は[+]方向へのみ有効です
   Y = 0 で、移動は[+]方向へのみ有効です
   Z = 0 で、移動は[-]方向へのみ有効です
また、ホーミングが完了するとMachのMacmeCoord'sカウンター表示は全てがリセット&ゼロ・セットされ当然表示も全"0"表示となります。

実際のプログラム運転は加工座標で加工原点を基準として動作するわけですが、この機械座標の機械原点は内部で常に有効になっておりプログラムや加工原点を変更してもシステムの電源がOFFされない限り維持されています。
次にテーブルの適当な位置に切削材料を固定した後にコントローラーの[][][][]ボタンを操作し切削材料に置きたい(基準にしたい)加工原点(プログラム原点)の位置に主軸を移動させます。

一般的には切削材料の左下隅か材料の中心に設定するようですが、加工の板取り等の条件から、必ずしも加工原点が切削材料の範囲内に設定しなければならないとは限りません。

ただし、この設定はCADの作図段階で決定し、それに従順、且つ正確に従わなければなりません。


また例として自作のCNCコントローラーを使用していますが操作が面倒でなければパソコンのキーボードで操作しても構いません。
 【 従来の方法 】

次にいよいよZ軸、つまりZ値の設定に入るわけですが今までは左画像のように真鍮の丸棒を刃物の下で転がし刃の引っ掛かりの感触に頼って決めていました。

但し精度の良いΦ10.000mmの丸棒はなかなか無く実際には0.05mm程小径なので不正確かも知れませんがMachのカウンターを見ながら0.05mmの補正をしていました。

このやり方は、どうしても差分を上昇させなければならないのですがMachのスケールカウンターは測定絶対値ではなく理論動作値の為に、Z軸のバックラッシに喰われがちですで不正確です。
 【Z値ゲージの登場】

今回から製作した[Z値ゲージ]をいよいよ使います。

操作はいたって簡単、且つ絶対的な測定値ですから正確に数値化及び確実な補正ができます。

作業としては、刃物の下に校正した[Z値ゲージ]を置きCNCコントローラーのZ軸下降のボタンを"チョン、チョン"と押して行き、際どいところで一旦止めます。


この時ですが下降距離が長い場合はコントローラーの[Mode]ボタンを一回押して[連続移動モード]で下降させます。

上昇も、他軸の移動も同じですが、このモードの場合は移動方向のボタンを押している間は連続で移動してくれます。


話は元に戻り、丁度良いところまで刃物が来ましたら再度[Mode]ボタンを一回押して[Stepモード]に切り替え[Step]ボタンを"チョン、チョン"と押してジョグモードのステップ送り量を決定します。

一般的には、まずは0.1mm程度から初めてステップ単位を徐々に小さくして行くのが良いでしょう。

実際の実用最小ステップ単位は0.001mmですね。

ステップ量を設定したら先程と同様にCNCコントローラーのZ軸下降のボタンを"チョン、チョン"と押して刃先を[Z値ゲージ]の測定面に当ててゆきます。


Z軸をさらにステップ送りして行くと、先程セットしたジョグモードのステップ送り量である0.01mmずつ[Z値ゲージ]に取り付けられたダイアル・ゲージの針は確実に振れて行きます。


丁度NCVCの切削パラメーターで設定した値と同じ20.00mmになるように上昇、下降を繰り返し値を出します。

多分一般的なマシーンでは、[Z値ゲージ]を使用する事により、その機械特有のZ軸のバックラッシを数値的且つ直感的に感じる事ができるでしょう。

しかし、この事は機械の性質上避けられない事ですので、取りあえずは実際の加工状態を想定して、やはりここは下降させてピッタリ20.00mmになるようにセットしましょう。


また切り抜きなどの切削条件として想定していた切削材料の厚さと実際の厚さに相違がある事は日常茶飯事でしょう。

6.0mmのアクリル板と一言で言っても、これは規格の呼称であって実際の厚さは製造メーカーや等級により千差万別でしょう。

一般的には呼称より薄目が多いかもしれません。

その場合、最初の想定どおりの厚さのままでZ値を材料表面と刃先の間にセットした場合、加工完成品の寸法精度が落ちるのは勿論の事、最悪テーブルまで切削してしまう事になる。


ゆえに切削材料をテーブルに固定する前に一旦、厚さを計測しZ値のセット時に、この[Z値ゲージ]を頼りに補正する必要がある。
【:ゲージの取り外し】

Z値のセットが完了したらゲージを取り外すわけですが決して不用意に引き抜かない事が重要です。
刃物を傷付けない為に真鍮で作っている測定面を刃物で傷つけてしまうからである。

必ず測定面を指で押し下げて刃物の当りを外してからゲージを取り外す習慣をつけよう。
上記でZ値のセットは完了したわけですが、習慣として、ここで一旦、MachのカウンターをMacmeCoord'sに切り替えて現在のワーク原点が機械原点の座標上の、どの位置であるかをメモしておきましょう。

このような段取りを習慣付けしておけば切削中の脱調やコンセント抜けによる停電等の不慮のトラブルにおいてもエマージェンシ・ストップをさせ原因を取り除いた後、再度ホーミングさせMachのカウンターを頼りに当初の加工原点に刃物を移動させ加工原点を容易に再現する事が可能であり材料を無駄にする事を防げます。
余談ですが私の場合、作図やNCコードの生成についてはノートパソコン等を使い机上の作業とし

実際の加工においてはガレージのMachを実装したパソコンに宅内の無線LANか左画像のようにメモリー・スティクでデーターを受け渡しています。
上記の一連の操作により加工原点の物理的セットが完了しましたら次にMachの表示座標カウンターを[MacmeCoord's]ボタンを押して加工座標(ワーク座標)系に切り替え全軸をゼロ・セット致します。


実際にはNCVCにより自動生成されたコードには上述のように[G92]の指令が自動挿入されプログラム・スタートと同時にカウンターはX=0,Y=0,Z=20として自動的にリセット&セットされるわけで無駄な操作に思われますが、基本動作として、カウンター"ゼロ"リセットは習慣づけしておくべきでしょう。
ここまで、できれば後は[Start]ボタンを押すだけで自動プログラム切削の、始まりです。


      (^。^) めでたし、めでたし。
        と・言う事で今回の特集は、お役に立ちましたでしょうか ?

この辺の操作や作業は諸氏其々の慣れと好みにより千差万別でしょうが取り合えず、こんな事をしている奴も居る・・・・みたいな事で  m(__)m

尚、当方何分にもアマチュアな者で説明文中の表現等に不適切または不十分な点がありましたらご一報下さい。  速やかに訂正申し上げます。

              今回も最後までの笑読、ありがとうございました。  ヽ(^o^)丿